第5回 ルカ・モドリッチ(クロアチアMF22歳)

- ルカ・モドリッチ(クロアチアMF22歳)
ユーゴ紛争、暴力サッカー耐えボバン級
すでに母国の英雄ボバン(元ACミラン)、プロシネツキ(元Rマドリード)と比較される存在だ。06年W杯では秘密兵器のまま終わったが、今大会予選でブレークした。全試合に出場し、華麗なドリブルを武器に次々と好機を演出。「聖地」ウェンブリーでイングランドを3-2で下し、優勝候補を予選敗退に追い込むとともに、一躍その名は欧州中にとどろかせた。
クロアチア・ザダルのザトン村生まれ。91年にユーゴスラビア紛争が起きた。セルビア軍に祖父を殺され、6歳のモドリッチは家族とともに家を捨てて避難した。「幼いころの写真を見ると、僕はいつもボールと一緒に写っているんだ」。モドリッチにとって、サッカーとは貧困から抜け出すための逃げ道だった。
18歳でボスニア・ヘルツェゴビナ1部のズリニスキ・モスタルにレンタル移籍。これが転機となった。「汚いプレーの連続だった。負傷しないためにも荒けずりなスタイルに順応することが重要だった。よくパンチも飛んできたけど、審判は選手に関与しない。そこで僕は選手としての強さを身につけたんだ」と言う。
04年に復帰したディナモ・ザグレブで、若手選手のMVPを獲得。ここから一気にスターへの階段を駆け上がった。背番号14を背負う細身の風ぼうから「クライフの再来」と称される。「一致団結すれば偉大な結果がつかめる。ウェンブリーのイングランド戦もそうだった」。苦境を糧としてきた若者に、クロアチアの命運が託されている。(春日洋平通信員)
◆ルカ・モドリッチ 1985年9月9日、旧ユーゴのクロアチア・ザダル出身。17歳でディナモ・ザグレブとプロ契約。ズリニスキ・モスタルを経て、再びディナモ・ザグレブで4季プレー。今季リーグ優勝を置き土産に来季から移籍金は2000万ポンド(約41億8000万円)でトットナム入り。国際Aマッチ25試合3得点。174センチ、65キロ。
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